分解により、エンジンの状態が把握できた。圧縮抜けの主原因はNo.4排気バルブ周りの損傷である。ここを修復する必要があるが、エンジンの劣化現象が他にもあるため、オーバーホールする方向で検討。 各部品の状態とその処置についてまとめた。
1.Engine Body Structure ------- 本体構造系
シリンダブロックのスカート部にデカデカと部番J906279とある。銅クロム合金鋳鉄製でクランクケースと一体構造。排気ポートも一体であり、ロングストロークのためかなりのっぽなブロックである。2200ccの排気量にしては重いな。でも無駄な肉付きがなく、必要なとこにリブを這わせて、闇雲におもくなるような箇所は少ないように感じた。少し驚きなのが、シリンダ中心はクランクシャフトとオフセット構造を採用している。オフセット値はジャーナル中心で3.2mmと僅かであるが、ピストンのスラスト荷重の低減によるフリクション低減をねらう構造のようである。
ボア径を計測して，必要なピストンサイズを検討した。この機はすでに O.S.0.02inch（0.5mm）オーバーサイズであった。ボア径は、適正かなというレベルであった。シリンダ内面の油膜保持のためのクロスハッチが消失しているので、すくなくともホーニングが必要。トップデッキを溶接するため、ボアへの熱的影響が心配。内燃機屋さんの助言もあり，O.S 0.040inch （1mm)で進めることにした。
| Parts | Condition, 状態 | To Do, 処置 |
|---|---|---|
Cylinder Block
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・No.4排気 バルブシート損傷
・トップデッキ中央 水穴，ボルト穴 クラック
・シリンダボアクロスハッチ消失
・オイルパンねじ穴 ねじ折れ
| 加工依頼
・排気バルブシート入れ替え
・上面クラック 溶接補修シリンダ ボーリング， ホーニング （ピストンサイズで設定）
・ねじ切ボルト抜きとねじ穴再生
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Cylinder Head
|
・燃焼室 堆積物多すぎ！
・INバルブシート 当りまあまあよい。
|
自主作業
・燃焼室の清掃， ヘッド面の研磨
・バルブ摺合， 清掃，塗装
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Head bolt
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・ねじ部 塑性伸び発生
・ねじ部の腐食 |
交換 三菱純正 短い1本伸び発生 長いボルトで製作。
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Head Gasket
| ・割れあり， メタルタイプ | 交換 三菱純正 |
| Mount Insulator | ・切れ等の支障なし ・継続使用可能 |
清掃，塗装 酸化防止保護
シリコーンで補強 |
Front Plate
（Mount Bracket) | 左側マウント部 曲がり変形あり | 曲がり修正 清掃塗装 |
2. Main Moving Parts --------- 主運動系
クランクシャフトベアリングはアンダーサイズ（U.S.）-0.010inchであった。クランクシャフトは3ジャーナル支持タイプでスチール鍛造製、とくに強化の表面処理等はなく中強度材のようである。ジャーナル幅が最近の乗用車と比べると倍以上であり、支持面圧が低いため耐焼付性はかなり余裕があるだろう。シリンダボアピッチがつめてあるため、クランクシャフトは極端に長いわけでもなく、コンパクトであり、細部も丁寧につくられており真剣に設計、製造されたオーラを感じる。
ピストンはトップランド面他、カーボンの付着が著しく（キーオフでもエンジンが止まらないランオンの原因だったのだろう）、ワイドマジックリン浸漬洗浄。オーバーサイズ（O.S.）＋0.020inch。ピストンリングは圧力リング2本、オイルリング1本である。トップリングの上にヒートグルーブという溝があり、ピストンリング、スカート部の熱負荷低減と燃焼ガスだめでオイル消費を抑制らしいが、カーボンがびっちり詰まっていた。側圧がかかる反対側にはＴ-slitがあり、熱膨張と変形吸収のためらしい。
Parts
|
Condition, 状態
| To Do, 処置
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|---|---|---|
Crank shaft
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・ピンジャーナル 軽い磨耗，傷 ・ベアリング アンダーサイズ U.S.-0.01inch ・ベアリング 磨耗と損傷あり
| 加工依頼
・継続使用可能、 ベアリング交換 アンダーサイズ -0.02inch (U.S.A輸入） ・ピンジャーナル 研磨 ベアリング
サイズ合わせ |
Con-rod
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・特に損傷なし
・ベアリングは傷あり |
・クランク同様 ベアリング交換 アンダーサイズ -0.02inch （U.S.A輸入） ・ベアリング 合わせ
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Piston &Ring..
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・トップ カーボン付着
・スラスト面 強い当りあり
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交換
・シリンダ加工 に同じO.S.
+0.040inch （U.S.A輸入）
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Fly-wheel
| 特に異常なし | 継続使用 |
| Crank Pulley | 特に異常なし | 継続使用 |
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