September 07, 2002

5 Tear Down 分解

1000~分解作業スタート。 先週、ブロックだけのJH4をエンジンスタンドに設置しておいた。ガレージにN氏と待ち合わせ。天気は曇りで小雨程度。半青空整備のため、湿っている方がホコリのまいがすくなくてよい。


Oil drain, Alternator, Water Pump
まずはオイル抜き。オイルパンのドレンボルトを外し。オイルを抜く。オルタネータとステーの分離。長年の垢というかオイルスラッジなどなど、部品を触るたびにグローブがどす黒くなっていく。ウオーターポンプの分離。ウオーターポンプは4年前にウオータシールとシャフトベアリングを交換。ケーシングのシール面も機械加工をいれ、オーバーホール済みである。


Oil Pan, Strainer
オイルが抜け切ったところで、ブロックを反転させて、オイルパンを外す。オイルパンのボルトは一箇所ねじ切ってしまっている。オイルストレーナ、クランク、コンロッド、カムシャフトが姿をあらわす。ぱっと見たところ特に異常はない。ブロックフロント側につくエンジンマウントブラケットをかねたプレートはマウント部で曲がっていた。過去に衝突か何かあったのだろうか。
Oil Pump
オイルポンプを分離。ブロックスカート中央にオイルポンプがつきます。オイルポンプのドリブンギヤはブロック反対側より刺さるディストリビュータのシャフトと連結する構造である。クランクカウンターウエイトとブロック内壁の間にプラスチックハンマーをあてがい、クランクプーリボルトを緩める。通常、固着して緩めるのにてこずるところであるが、難なく緩めることができた。


Front cover,Cam gear train, Cam shaft
カムカバーのボルトを外す。カムギヤトレインが姿をあらわす。クランクギヤの前についている円盤はオイルスリンガーと呼ばれるもので、ギヤを伝わってくるオイルを遠心力で撒き散らすことによりフロントオイルシール部を助ける役目がある。クランクシャフトリヤにも同じ原理を利用するツバがついている。カムギヤをシャフトごと抜く。カムギヤーはベークライト製(フェノール樹脂)でクロスマット積層構造で強化してある。金属ギヤーよりは軽量であり、慣性モーメントが小さく、動特性にも有利。クランクギヤは金属であり、カム側は樹脂の組み合わせで静粛性もあると思われる。耐久性について心配であるが、1952のH4よりこの構造であるから実績十分というところか。ギヤの噛みあい部にはオイルスプレーが設置されており、運転中はギヤ噛み合い部にオイルが供給される。バルブトレインはギヤ式が耐久信頼性がある。1950年代の設計ですでに樹脂ギヤを採用している。


Conrod, Piston
コンロッドをベアリングキャップのナットをゆるめる。ご丁寧にナットの回り止めにパルナットが使用されている。パルナットはねじ山一周分の板金モノである。緩んでしまったときのナットの脱落防止にはなるだろうが、ナットが回るぐらい緩むときはボルトの分担荷重が増大で、致命的な破損にいたると考えられるのでその効能については?である。(まあええやんか) コンロッドピストンをプラスチックハンマーの柄で押し出して抜く。シリンダ縁に段差(ridge)はなく、スンナリ抜けてくれる。段差がある場合はそれを削り落とさないと、ピストンを抜く時にピストンリングを痛めることになる。ピストンは燃焼荷重がかかったときにスラスト荷重がかからない側で、ピストンの熱膨張緩和たのめのT字型スリットがある。とても合理的な構造。今の自動車会社じゃとてもできない工芸。当り状況はそれ相応といったところ、通常レベル。反対側のスラスト側は当り領域が広いです。


Crankshaft, Bearing, Cap
クランクベアリングのキャップボルトをはずす。ベアリングは3ベアリングである。No.1ジャーナルベアリングはスラストベアリングをかねたものである。No.3ジャーナルキャップはリヤシール構造を兼ねて、ブロックと密着構造になっているので、すんなり外れてくれない。オイルパンボルトねじ穴にボルトをつけて、スライディングハンマーで軽く引抜を与えて取り外した。クランクシャフトを持ちあげエンジンの回る背骨が姿を現した。クランクシャフトはピン部、ジャーナル部とも特に酷い状態ではない。ベアリングは酷い状態であった。虫食い状に荒れ、銅層まで磨耗。以前のベアリングサイジングが不適切であったのか、潤滑がよくなかったか、異物が多かったのか。(聞くな!)



Fitting, Fuel Pump
午後からは、ブロックのオイルやバキューム関係のフィッティング類、オイル通路のシールプラグ2個を外す。ブロック左側前方にあるフューエルポンプが取り付け面とその下はオイルフィルターへ向かうフィッティングである。このフィッティングは非常に固く、ホース側のねじが入るところを変形させてしまった。ホース側のねじを取り付けたまま、回せば変形を防げたと思う。純正部品は入手不可であった。
フューエルポンプの取り付けボルトはマウントをかねるフロントプレートと近接しているため、車載状態では非常にボルトを扱いにくい構造である。右側画像はブロック後部側面で、上がシリンダヘッドへオイルを上げるフィッティング、下は油圧計へのフィッティングである。 その後、カムギヤ、クランクスプロケットへのオイルスプレーのボルトを分離。


Tappet, Pussyrod
ブロックを下側からのぞいている様子である。シリンダの上部に見える丸いのはカムタペットである。
長いのが排気側のタペットで、バルブクリアランス調整のためのねじがついている。サイドバルブなので直接バルブを押す。短い方は吸気側タペットである。プッシュロッドがのっかり、シリンダヘッドのロッカアームへと繋がる。一通りの分解が終わり、差し入れをもって駆けつけてくれたジムニー乗り3名が来てくれていたが、各部計測の最中に、曇天が泣き出し、どしゃぶりとなる。野郎5人狭いガレージで雨宿り状態となる。



Cylinder Block
ようやくブロック単品の状態となる。シリンダブロックは重量はあるもののスカート部や側壁などは適切な肉厚となっているようで、むやみに肉がついているものでもないようである。剛性を確保するところは確保し、必要ないところは肉を削り、適正化されているように思えた。40~50kgぐらいかな何とか1人で持ち上げることができる重量である。
シリンダゲージ,マイクロメータを用いて,シリンダ径,クランクシャフトのピン,ジャーナル径、カムベアリング内径,ピストン外径,コンロッド内径を計測した。計測結果をもってかえって整理することに。具体的な修理プランの立案である。

2 comments:

Anonymous said...

プラスチックは潤滑周りは駄目なのは機械工学王道。
自己潤滑性に期待をかけるなら、日立金属製のSLD-MAGIC。

Anonymous said...

ホントにそう?相手材には樹脂がいいと開発者の方は言っているようだが。