各部品の再生,修正などのリビルド作業は終了.ここからエンジンの組み立てである.エンジン組み立てで楽しいのはこの時にある,部品をそろえたり,さびを落としたり,きれいにするのは修練に等しい.組み立ての段取りをイメージ、淡々と組み立てる.ボルトが新しい潤滑油のもとスムーズに回り,軸力がでている手応えを感じながら,エンジンが姿をあらわしてゆく.ピストン,コンロッドから.
Piston
O/Hキットのピストンを三菱純正と並べてみた.(左:三菱 右:USA) ピストンもFederal Mogul製である.外観のメッキ処理やTスリットの加工,内面の肉の盛り方 ピンボス形状など三菱純正(アート金属)がやはり品質的にはよさそうである.がFedralのピストンも機能としては十分そうで,これで問題なければコスト的にも,こっちが優れることになる.ピストンは O.S.+0.040inch.
効果はないかもしれないが,カーボンなどの付着を少しでも防げるか,火炎輻射熱の反射で熱効率向上(笑) とのねらいでピストン頂面を鏡面化.火がはいればどんどん焼けるだけだとは思うが.
Connecting Rod ( Conrod )
コンロッド,長い. 中心間距離(小端-大端穴)233.4mm 重量約900g ストロークも長いがコンロッドも長い。連桿比4.2 コンロッド長さ/クランク半径(ストロークの半分)この値が大きい、つまり、シリンダ,スラスト荷重(側圧)が低減されている。機能重視の設計である。クランクピンのコンロッド大端部の回転運動とピストンの往復運動が離れるため,有害な振動もでにくい.重量とエンジン高がネックとなるが,ジープの運転では実用もしない高回転は不要.この仕様はジープエンジンとしてふさわしいと思う.元のフラットヘッド L134 はまさにジープエンジンと感じる.
小端部ピストンピンの固定がボルト式というのもうなる.フルフロートタイプであればブッシュやスナップリングなどが必要となる. 圧入タイプであればプレスなどが必要になる. 現場修理で的確に分解,組み立てもしやすいまさにジープコンロッド. 複雑な構造ではあるが.現代の量産至上主義ではまず採用されないであろう.
コンロッド 大端部に各シリンダNo.の刻印があります.ピストンとシリンダ壁面にオイルを吹き付けるスプレーホールがある.ベアリングがあたる大端内面はほとんど荒れがなく,これだけでかい幅で,面圧にも余裕があるのでしょう.ベアリングはFederal Mogul U.S. -0.020inch.
Piston Rings
ピストンリング O.S.+0.040 オイルリングとエキスパンダ.エキスパンダの合口には 赤と緑の樹脂製のマークがある.三菱純正のエキスパンダは 水平方向に波型であったが,これは周方向に波型になっている.作りやすそう.
トップリングとセカンドリング 左がUSA品,右が三菱純正.断面形状が異なる.セカンドリングはUSA品は外側に段付があり,シリンダ壁のオイルかきには若干有効なのだろうか.純正品は摺動面にクロムメッキらしい.
USA品の説明書 ピストンリングの取り付け方向.生産日だろうか.
ピストンリングの組み付け,各リングの確認.シリンダに入れるときは各リングの合口は燃焼ガス,壁面オイルのすり抜けを防止するため,ピストンピン方向をさけて,ずらして配置.オイルリングはエキスパンダの合口とリングの合口を反対側にセット.ピストンとコンロッドにピストンピンをいれて,小端部の固定ボルトを締め付ける.(締め付けトルク:4.8~5.7kgm) ピストンのTスリットとコンロッドのオイルスプレー穴は反対に.
3 comments:
こんにちは。エンジン組む参考にさせていただいてます。教えて欲しいのですがオイルリングについてる赤と緑、あれは何の意味があるのでしょうか?そのまま組み込むのですか?よろしくお願いします。
当時,私も気になってGLANT社へ聞きました.合わせ位置の確認と組み込み時重なり(OVERLAP)を防止するためのもので,溶けてなくなるからそのままでいいとのことでした.そのまま組んで10年,約3万km走行しましたが問題なく好調です.
リンクはGLANT社の説明です.
http://www.grantpistonrings.com/products/rings/ring_basics.htm
こんにちは。ありがとうございます。参考になりました。本日ピストンリング組みました。ピストンは三菱再使用、リングはGLANT。よく考えたらこの組合せ大丈夫なのか?両方のリング計測してみます。
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