April 29, 2003

9 Assemble (2/3) ---- Chassis,Camshaft, Pulley

Front Chassis Frame
ドンガラ状態のフロントシャーシ周りの塗装を実施.古いと塗膜をある程度除去して,Zincスプレー,上塗りは塗料屋さんで調合していただいた,OD色のウレタン2液.フロントブレーキ配管類も交換した.

CamGear, Camshaft,Crankshaft
JH4はカムギヤトレインである.ディーゼル4DR5もではOHVでカムギヤトレインですね.OHC以降はチェーンとかタイミングベルト駆動が主流となりましたが,OHCはヘッドがでかすぎる,タイミングベルト,チェーンは切れる伸びるとなにかとめんどくさいという印象があります.このエンジンの場合は何が凄いか それは樹脂ギヤというところです.きちんと設計して,まじめな構造を採用すれば樹脂ギヤで十分いける.何十年も前からやってる.左:O/Hキットのギヤ(チョップドストランドマット繊維).右:三菱純正(クロス繊維積層). 三菱の方は多少磨耗があるが バックラッシュが過大でもなく,まだ使えそうな感じなので,あえて新品にせず継続使用することにした.


カムシャフトベアリングは交換した.フロントプレートとブロック間のガスケットを貼り付ける.カムギヤ組み付ける.フロントプレートを取り付ける.
各ジャーナル部,ベアリング部にオイルを塗布して,クランクシャフトをセット.ジャーナルキャップ,クランクギヤ,クランクプーリ,ボルトを仮組みして,エンドプレー(軸方向の遊び)の確認,標準0.05~0.21mm シムなしで0.13mm これでいくことにした.

タイミングギヤ,クランクギヤをマーキングに合わせて組み付ける.ギヤかみ合い部にむけてオイルジェットを設置(マイナス頭の六角)
クランクリヤシールは 円形の半割りタイプ MD015005(¥1200)を交換.ジャーナルキャップとブロックの間にはいる円形棒状(下画像)のやつは,つまっていればいいので そのままシール剤添加で再使用した.いずれもオーバーホールキットにもついていたが,この辺のゴム部品は国産にしておくことにした. クランク後端部フランジはボルトを通して,フライホイール側でナットで締結する構造.そのため,フランジ厚さは比較的薄い.リヤオイルシールはジャーナル軸でシールするため,オイルシール接触部の周速は低くシール寿命に寄与.
現在のエンジンでは後端フランジに雌ねじを切ってボルト締結するためフランジは厚くするケースが多い.また,フランジ外周でオイルシールをかます構造のため,シール接触部の周速が高く磨耗に厳しい,そのためフランジ外周を焼きいれなどで硬度を確保するタイプが多い.下の画像は仮組みで合わせただけで すべてのフライホイールボルトを通していない.ジャーナルキャップを本締めするときはフライホイールボルトを通しておかないとあとで絶叫することになる.シール,フライホイールボルトをセットした上でクランクベアリングキャップを固定,(締め付けトルク 9.0~10.4kgfm) フロント部関係の取り付けで終了.
 

April 28, 2003

9 Assemble (1/3) ---- Piston,Conrod

各部品の再生,修正などのリビルド作業は終了.ここからエンジンの組み立てである.エンジン組み立てで楽しいのはこの時にある,部品をそろえたり,さびを落としたり,きれいにするのは修練に等しい.組み立ての段取りをイメージ、淡々と組み立てる.ボルトが新しい潤滑油のもとスムーズに回り,軸力がでている手応えを感じながら,エンジンが姿をあらわしてゆく.ピストン,コンロッドから.

Piston
O/Hキットのピストンを三菱純正と並べてみた.(左:三菱 右:USA) ピストンもFederal Mogul製である.外観のメッキ処理やTスリットの加工,内面の肉の盛り方 ピンボス形状など三菱純正(アート金属)がやはり品質的にはよさそうである.がFedralのピストンも機能としては十分そうで,これで問題なければコスト的にも,こっちが優れることになる.ピストンは O.S.+0.040inch.



効果はないかもしれないが,カーボンなどの付着を少しでも防げるか,火炎輻射熱の反射で熱効率向上(笑) とのねらいでピストン頂面を鏡面化.火がはいればどんどん焼けるだけだとは思うが.
Connecting Rod ( Conrod )
コンロッド,長い. 中心間距離(小端-大端穴)233.4mm 重量約900g ストロークも長いがコンロッドも長い。連桿比4.2 コンロッド長さ/クランク半径(ストロークの半分)この値が大きい、つまり、シリンダ,スラスト荷重(側圧)が低減されている。機能重視の設計である。クランクピンのコンロッド大端部の回転運動とピストンの往復運動が離れるため,有害な振動もでにくい.重量とエンジン高がネックとなるが,ジープの運転では実用もしない高回転は不要.この仕様はジープエンジンとしてふさわしいと思う.元のフラットヘッド L134 はまさにジープエンジンと感じる.
小端部ピストンピンの固定がボルト式というのもうなる.フルフロートタイプであればブッシュやスナップリングなどが必要となる. 圧入タイプであればプレスなどが必要になる. 現場修理で的確に分解,組み立てもしやすいまさにジープコンロッド. 複雑な構造ではあるが.現代の量産至上主義ではまず採用されないであろう.

コンロッド 大端部に各シリンダNo.の刻印があります.ピストンとシリンダ壁面にオイルを吹き付けるスプレーホールがある.ベアリングがあたる大端内面はほとんど荒れがなく,これだけでかい幅で,面圧にも余裕があるのでしょう.ベアリングはFederal Mogul U.S. -0.020inch.




Piston Rings
ピストンリング O.S.+0.040  オイルリングとエキスパンダ.エキスパンダの合口には 赤と緑の樹脂製のマークがある.三菱純正のエキスパンダは 水平方向に波型であったが,これは周方向に波型になっている.作りやすそう.
トップリングとセカンドリング 左がUSA品,右が三菱純正.断面形状が異なる.セカンドリングはUSA品は外側に段付があり,シリンダ壁のオイルかきには若干有効なのだろうか.純正品は摺動面にクロムメッキらしい.

USA品の説明書 ピストンリングの取り付け方向.生産日だろうか.
ピストンリングの組み付け,各リングの確認.シリンダに入れるときは各リングの合口は燃焼ガス,壁面オイルのすり抜けを防止するため,ピストンピン方向をさけて,ずらして配置.オイルリングはエキスパンダの合口とリングの合口を反対側にセット.ピストンとコンロッドにピストンピンをいれて,小端部の固定ボルトを締め付ける.(締め付けトルク:4.8~5.7kgm) ピストンのTスリットとコンロッドのオイルスプレー穴は反対に.

April 19, 2003

8 Rebuild Work (8/8)---- Cylinder Head

Cylinder Head
L134 Go devil 吸気排気ともサイドバルブであったが.吸気バルブをオーバーヘッドにした,Fヘッドである.燃焼室も外観も真っ黒.バルブ,スプリング,ロッカーシャフト類をはずす.ヒーターコックがかなり固着して分解に苦労する.ヘッドを徹底的に洗浄.ワイドマジックリンを湯に溶いて,ヘッドを浸す.そしてワイヤブラシ.ヒーターコックのつまみも固着しており,分解して可動するようになった.ヘッド下面のひずみ規定以下であったが砥石をつかって面を整えた.
燃焼室内面もカーボンがぎっしり.バルブの当たりは一応あたっているようです.吸気バルブのスプリングとリテーナーをはずすと,ステムシールに相当するOリングはカチコチであった.整備解説書では下図の位置なのだがステム(軸部)のところにあった.今のエンジンではステムシールというものがガイドの先端につくが,JH4にはそんなものはない.ガイドからのオイルダウンはバルブが開くときにオイルが吸われるので,このリテーナー形状であればスカート部が覆う形になるよ,この構造で十分なのかもしれない.なかなかうまい構造だと思った.

吸気バルブはUSAパーツを用いた.バルブガイドは特に酷いガタがなかったので,このまま使用.新品バルブを摺り合わせたのち,当たりの確認.
バルブスプリングコンプレッサーは専用品をもっていないので,メガネレンチと棒ねじで自作.これでブロックの排気側サイドバルブの分解,組立にも使用.

Before
After
Rocker Shaft, Arm
プッシュロッドはとくに当たり様相のみで問題なし.ロッカーアームはバルブを押すスリッパ部に強い当たり痕があった.ここは焼入れで強化してあるので削りこむのは良くないが,圧痕を消すレベルで研磨した.軸受け内面も簡易的な研磨で整えた.




これで各部品のリビルド作業は終了。