July 25, 2010

J3R REAR HUB (5) 左側条件付で終了

残していた左側ハブ周りの整備.7月のはじめにはバラしていたのだが,雨続きで放置ぎみになっていた.ジープが不動状態だとどうも落ち着かない.前回と同様にハブ周りをばらして,各部品の塗装,錆びを落として再塗装.途中で何のためにここまでするのかと悩みだしてしまったが,そうしたいと思ってやりだしたのだから,とにもかくにも最後までやるという一心に集中した.手作業ではやはり時間がかかりすぎである. そして今日,昼過ぎより始めて組み上げたのだが,猛烈な暑さにほんとくじけそうになった.ガレージ内で作業をはじめるとすぐに汗が吹き出る.暑さで頭はもうろうして,工具がちらかりはじめ.不測のトラブルも発生で焦燥感と苛立ち.工具は使い終わったら片付ける.今つかうものだけを並べる.それだけでも心的負担は軽減すると感じる.

トラブル1 上右画像.ハブのロックナットを外したときであるが,割りピンが入る穴部のねじが欠落.それによりナットが一山傷つき,再締め付け時にかじりと引きずりトルクが発生.シャフトねじ側の損傷部はクラウンナットのスリット部で強度的には分担していないのでいいのだが,ねじの損傷部を修正するのに時間を要した.なんとか引きずりトルクがないようスムーズに回るまで回復したが,後日ナットの交換が必要である.

トラブル2 今回の目的はグリスシールの交換であるが,右ホイール側はシール部が欠損していたが,左側をバラしてみるとなんとシール部が変形した状態で組み付けられていた.金属レール部が傾いているので,そこがハブのシール接触部と金属接触,摺り傷がついていた.グリスシールのボルト穴に隙間があるため,グリスシールとカバーだけでボルト締結するとシャフトと心ずれ発生する.グリスシールの緊迫は強いので,心ズレのままハブフランジをロックナットでむりやり取り付けると,こうなってしまうと考えられる. 

右側と同じく各部品の塗装,錆びを落として再塗装.そして赤外線乾燥.といっても朝9時ごろでは43℃ぐらいにしかならなかった.

J3Rのリヤのドラム.鋳鉄ライニングとハブ締結部は鋼板.ドラムには三箇所突起がつく.
  
グリスシールの取り付け.手間がかかるが,シールの心だしのために,あらかじめハブフランジ単品にグリスシールを取り付けてなじませておく.次にバックプレートにグリスカバーとともに組み付けるのであるが,ボルトナットは仮止めしておき,ハブフランジを取り付けて何回かまわして心出しをしたのちに本締めする.これでフランジ取り付け時には心がでており,手で強く押す程度でフランジをグリスシールに挿入できる.

ブレーキパーツ取り付け状態のBefore & After  トラブル3 ブレーキパーツを組む段階になって,ブレーキシューの固定のためのスプリングシートが一個ないことに気づく.これは先日 運搬していた乗用車の中で部品箱をぶちまけてしまいそのとき全部確保していたつもりだったのだがない.再び車内を探しまくり隙間に落ちていたのを発見で作業完了.


ブレーキパイプのクリップのインシュレータは硬い布地が使われていたが,ボロボロでとれてしまったので,東急ハンズで買った革のハギレを使った.革だから持ちはいいだろう.ほんとに暑さにくじけそうになった.こんな厳しい整備は久しぶりだった.やった成果はグリスが漏れないだけと考えるとむなしいが,労働感とここちよい疲労感に浸っている.

July 01, 2010

J3R REAR HUB (4) 右側の組み立て

やっと組み立て作業をおこなった.今回,交換する部品.

グリス漏れの原因であった リテーナーオイルシール MJ646239 YEN770/1個. 三菱部品としては珍しくUSA市場より安い.フェルト状のものにオイルがしみこんでいる.
アクスルハウジング内のオイルシール  MJM02473 YEN350/個 NOK製.

リテーナーオイルシールのガスケット.片側で2枚使う.MB092956 YEN260/枚 スリーボンド製.アクスルチューブ内の古いオイルシールをスライディングハンマーで抜き,新しいやつをインストーラーで打ち込む.

リヤドライブシャフトは下の画像のテーパー部でハブフランジとナット締結される.1978年以降の三菱ジープはフランジとシャフト一体型になり,ベアリングを強烈な圧乳リテーナで固定する構造となった.理由は耐久信頼性の向上とコストダウン.確かに分割タイプでは,その信頼性はナットの締め付けにかかってくる.ここの部位は軸重による曲げと駆動トルクによるねじりの合成力を受ける.ナットの締め付けが甘かったりするとテーパ接触面でフレッティング疲労破壊を起こすかもしれない.フレッティング疲労は微小な高面圧部での擦れによる酸化と表面欠陥生成による応力集中を起点とする破壊であり,いくら高強度材であってもたちうちできない怖い破壊現象である. みたところ接触跡はあるもののフレッティングの様相はみられなかった. この分割タイプのメリットは何か.高強度材の軸モノに圧入リテーナよりはシャフト形状でベアリングをささえるので安心.交換,隙間の調整などの整備性はよいと思う.とはいうものの曲げ,ねじりを別に受けつ持つMB/GPWの全浮動式がやっぱり一番かと思うものの,フランジにもスプラインが必要だし,ベアリングは増え,プレロード調整も必要.シビリアンジープとして分割タイプのセミフロートが完成形かな.
ホイールベアリングを洗浄.アウターレースも特に異常なし.ローラホルダー部にグリスを注入する.自動車を触り始めた頃グリスは手のひらですり込んでいれるのだと教わったが,効率がわるいのでもっぱら,スーパー袋にグリースと一緒に包んで絞っている.確実に入る.  
 オイルシールにグリスを塗り,傷つけないように注意しながら挿入する.ベアリングアウターレースを内部で接触する手前まで打ち込む.ドライブシャフトのエンドプレーを確認するために,元々ついていたシムとリテーナを付けてボルトナットを締めこむ.左側のホイールもジャッキアップしておく.エンドプレー規定値は 0.025~0.15mm. 計測結果は 約0.1mm.基準内なのでこのままでいくことにする.
バックプレート,ガスケット,リテーナーオイルシール,ガスケット,カバーの順に取り付ける.締め付けトルクは5kgfmねらいとした.(基準は3.5~4.8kgfm)  ここはベアリングが抜け出してこないように押さえつける役目のところである.ナットにはスプリングワッシャが用いられているが,回り止めの効果はあまり意味がなく,接触座面を痛めたり,開いたりするのでプレーンワッシャを用いた.ブレーキ関係類の取り付け.ブレーキシリンダは内部も掃除しておいた.


ハブフランジの挿入でオイルシールの緊迫が強く,なかなか入りづらかった.もう一度バラして,オイルシールとハブフランジで確認してみたところ,結構きつく入るような感じだった.これを強引に押し込むとフェルトのシール部分を傷めやすいかもしれない.今回は一旦挿入してなじませたあと,左右に少しづつ振りながら徐々に入れた.
ハブフランジを仮止め.ここでグリスニップルよりグリスを注入.アクスルチューブの上の穴からニュルとでてくるのを確認.フランジ側には漏れはなし.ドラムを付けて,ブレーキエア抜き,クリアランス調整を行った.ホイールを取り付けて,ロックナットを本締め(20kgfmねらい),ハブキャップを取り付けてようやく完了. ブレーキチューブのクリップの塗装を忘れていたのでつけていない.
頭では 1~2時間ぐらいの作業かなと思っていたが,甘かった.何かと雑作業が増え,暑さでグダグダ,4時間近くかかってしまった.左をバラスすところまでを予定していたができなかった.ガっくり...マニュアル,想像どおりにはいかないものである.次回は左である.でもコテコテの塗膜と錆びをそぎ落とすのは気持ちいい. がきついな.